ストレッチに体を改善する効果はあるのか? 効果を出すための方法まで徹底解説

ストレッチに体を改善する効果はあるのか? 効果を出すための方法まで徹底解説

ストレッチは体に良さそうではあるけど、実際に効果はどのようなものがあるのかわからないとか、普段ストレッチはやっているけど、それほど効果を実感できないなど、ストレッチについて懐疑的に思っている方もいると思います。

今回は、そんなストレッチについて懐疑的に思っている方に対して、研究を元にした科学的な知見を包み隠さずお話していきます。研究で語られているストレッチの効果は、どのようなものがあるのでしょうか。一緒に確認していきましょう。


ストレッチにはどのような効果があるのか?

まず、ストレッチにはどのような効果があるのか、解説していきます。最初に結論ですが、ストレッチには様々な効果があります。しかし、ストレッチのやり方や目的をしっかりと理解した上で行わないと、狙った効果を発揮することはできません。そこが、一番の注意点になります。それでは詳しく解説していきます。

関節の動く範囲が向上する

最初に、関節の動く範囲が向上することについて解説していきます。ストレッチをすると筋肉が伸ばされ、柔軟性が向上します。また、筋肉自体の緊張状態が緩和して動きやすい状態になります。さらに、筋肉だけでなく、関節を包んでいる袋(関節包)も伸ばすことができるので、関節の動きがよくなります。関節の動きが良くなると、姿勢が改善したり、全身を上手に使うことができるようになるため、体の一部に負担がかかって痛みが出るといった症状が出にくくなります。慢性的なストレスが原因で起こる腰痛や肩こり、首の痛みなどに効果的です。

筋肉の柔軟性の改善

ストレッチは、筋肉や筋肉に付随する腱の伸びがよくなります。スポーツでは、関節を素早く、大きく動かしたり、力強く動かしたりします。そうすると、筋肉や腱に対して大きなストレスがかかります。このストレスが、筋肉や腱の持つ強度を超えると、肉離れやアキレス腱断裂に至ります。なので、ストレッチは筋肉や腱に対する障害を予防する効果があるということができますし、実際に研究では、筋肉に対する障害の予防効果があるとされています。

筋力の改善効果

ストレッチは、柔軟性だけでなく筋力も向上させる効果があるとされています。研究では、10週間の期間、週3回静的なストレッチを行った群とストレッチを行わない群で、筋力や垂直跳び、筋持久力を測定しています。その結果、ストレッチを行っただけにもかかわらず、筋力や垂直跳び、筋持久力が向上したとされています。運動前の静的なストレッチは、筋力が落ちてしまうので控えめにする必要がありますが、それ以外の時には、積極的にストレッチを行うべきということが言えるでしょう。

ストレスの軽減効果

ストレッチには、ストレスの軽減効果があるとされています。研究では、ストレスが軽減したかどうかを、唾液に含まれるコルチゾールという成分を用いて判断しています。コルチゾールは、ストレスを受けると多くなり、ストレスが軽減すると減るという特徴があります。これらの特徴を用いて、ストレッチの前後でコルチゾールの量を調べています。研究結果は、ストレッチの後にコルチゾールの量は減少しており、ストレスが軽減した可能性が示されています。負荷量がかなり高い運動では、コルチゾールの量は増えてしまいますが、ストレッチ程度であれば、コルチゾールは減少するようです。

筋肉の血流改善

ストレッチには、筋肉への血流改善作用があります。筋肉が伸ばされると一時的に筋肉内の血管には圧がかかり、血液が送り出されます。ストレッチを弱めると、血管にかかる圧が減少し、再び血管内に血液が流れてきます。血管は圧迫されると、その後に急激に血流が良くなるとされています。これを、反応性充血と呼んでいます。このように、血管に圧迫を加えたり、圧迫を緩めたりすることによって、筋肉内の血液を交換することができます。血流が改善することにより、筋肉の温度も上がります。そのため、冷えている状態の筋肉よりも、筋肉の損傷を受けにくく、またパフォーマンスも上がるとされています。


ストレッチには効果がないと言われる理由は?

ストレッチの効果をご紹介してきましたが、巷ではストレッチは効果がないと思っている人もいることも事実です。自分では、ストレッチで狙った効果が出せない人もいると思います。実際、どのような場面で、どのようなことを狙って、どのような方法で行うのか、しっかりと理解していないと、狙った効果を出すことは難しいと思います。

ストレッチには効果がないと言われてしまう理由について、解説していきます。

静的なストレッチを行った後には、パフォーマンスが下がる

じっくりとストレッチを行った直後には、筋力が下がると言われています。研究でも、ストレッチ後の筋力を測定し、筋力が下がる結果が出ています。筋力が出なくなるメカニズムを紹介します。筋肉には、筋紡錘という伸びに対するセンサーがあります。ストレッチをすると筋肉が伸ばされると共に、センサーにも「筋肉が伸びた」という指令が入力されます。この指令が入力されると、筋肉は損傷を防ぐために、筋肉の緊張を抑えて柔らかい状態になるようにします。このように、筋肉の緊張が抑えられて筋肉が柔らかい状態になってしまうと、筋力が発揮できなくなってしまうというわけです。また、筋力だけでなく反射的な反応も遅延してしまうため、じっくりと長い時間の静的ストレッチ後は、筋収縮のタイミングが遅れてしまうとされています。さらに、力学的な話として、単純に筋肉や腱が柔らかくなってしまうことで、筋力が発揮・伝達されにくくなります。

ストレッチにより、スポーツ障害が完全に無くせるわけではない

ストレッチをする目的として、スポーツにおいて怪我をしたくないから・怪我を予防したいからという人もいると思います。しかし、ストレッチは万能ではありません。研究によると、ストレッチをしただけでは、スポーツにおける怪我は減少しないとされています。冷静に考えてみると、スポーツでの怪我は、筋肉の柔軟性があることで全て防げるわけではないですし、相手がいるスポーツの場合やコンタクトスポーツの場合では、相手の動き方などによっても怪我をする確率は変わってくるものです。ストレッチだけで怪我を完全に防ごうとする考え方自体、無理があるのかもしれません。

筋肉痛が完全に予防できるわけではない

スポーツでの怪我に次いで気になるのは、筋肉痛という人もいるでしょう。激しい運動をした後に、少しでも筋肉痛が軽減できて明日の動きが楽になればという思いでストレッチをしている方もいると思います。しかし、ストレッチでは筋肉痛を完全に予防できるわけではありません。研究によると、多少効果はあるとの結果が出ています。しかし、ストレッチをする側としては、筋肉痛がほとんど出ないような状態を期待したいところです。ストレッチだけでは筋肉痛を完全に防ぐことはできないので、筋肉痛を完全に防ぐ場合には、負荷量そのものを見直す必要が出てきます。

疲労回復の程度はストレッチをしても安静と変わらない

疲労回復を目的に、ストレッチを行う人もいるでしょう。血流も良くなるし、疲労物質も洗い流してくれそうです。しかし研究によると、ストレッチをした時と安静にしている時では、疲労の取れ方は同等という結果が出ています。最も疲労がよく取れたのは、軽い運動をすることという結果が出ています。疲労の程度という尺度で調べてしまうと、このような結果になっていますが、自律神経を整える働きはあると言われているので、ストレッチはリラックスできるとされています。また、ストレッチを行うと入眠までの時間が短くなる(眠りやすくなる)とも言われているので、総合的にみて、疲労回復にはストレッチが有効な可能性があるといえそうです。

ストレッチのやり方によって効果が下がる

ストレッチのやり方には、いくつか種類があります。その中で注意したいのが、バリスティックストレッチと呼ばれるものです。これは、反動をつけながら自分の体重を利用して、リズミカルにストレッチをしていく方法のことを指します。この反動をつけて行うストレッチは、静的ストレッチの2倍のストレスがかかるとされており、組織を損傷する可能性があります。ストレッチを十分に行ったのに痛みが出てしまうという人は、自分のストレッチの方法を再確認してみる必要があります。

また、ストレッチの時間が足りない場合も、狙った効果を発揮できません。体の柔らかさを出す目的でストレッチを行うとします。ストレッチの時間はどれくらい行っていますか?組織が伸びるためには、60秒のストレッチが必要と言われています。60秒は結構長い時間ですし、組織がしっかりと伸びた状態を、60秒キープすることは大変です。もし、ストレッチをしているけど一向に体が柔らかくならないと思う方は、ストレッチの時間や、伸ばしている間のストレッチの強さが変わっていないか、という2つのポイントをチェックしてみる必要があります


効果的なストレッチとは何なのか?

ここまでストレッチについて、肯定的な意見や否定的な意見、様々なことを解説してきました。ここまでの知識を知った上で、効果的なストレッチとは何なのか、解説していきたいと思います。結論としては、「目的により方法は異なる」です。目的によりストレッチの方法や、ストレッチの時間は異なってきます。ここでは、日常ストレッチを行う目的とされやすい、健康・スポーツ・美容の観点から、どのようにストレッチを考えていけば良いのか、解説していきます。

健康に効果的なストレッチ

ストレッチが健康に影響を及ぼすこととしては、姿勢の改善、姿勢の影響からくる疾患の予防、筋力の向上効果が関連してきます。これらの骨格的な影響だけでなく、内臓的にも良い影響があるとされています。研究では、体の硬さと血管の硬さに関係性があると言われています。体が柔らかい人の方が血管も柔らかいことがわかっており、年齢を重ねて体が硬くなっていくと、血管も硬くなるという関係性が明らかにされています。

さらに、ストレッチをすると血糖も筋肉へ取り込まれるとされています。研究では、ジュースを飲んだ後に、ストレッチをした群と、していない群の血糖値を比較しています。結果としては、ストレッチ開始後20分後くらいから急激に血糖値が下がり始め、40分後も血糖値は低いままだったそうです。この研究から、ストレッチは糖尿病の予防・改善の可能性が考えられます。もちろん食事の管理やストレッチ以外の運動、服薬も大事なので、それらを行うことは大前提ですが、雨の日など積極的に運動ができない場合、ストレッチだけでも行うと血糖の管理ができる可能性が考えられます。

スポーツに効果的なストレッチ

運動に効果的なストレッチは、運動前後で異なってきます。運動前には、筋肉の温度を上げてパフォーマンスを発揮するために、動的なストレッチを中心にウォームアップします。静的なストレッチは、軽く短い時間で行うようにします。静的なストレッチの参考時間は30秒未満です。このぐらいの短い時間であれば、パフォーマンスの低下は起こらないとされています。動的なストレッチを中心にウォ―ムアップすることにより、筋力を落とすことなく、筋肉の柔軟性をあげることができます。

筋肉の柔軟性を上げることができると、筋肉の硬さが原因で起きる肉離れなどの怪我を予防できたり、ランナー膝やシンスプリントなどのオーバーユースが原因で生じる疾患の予防ができたりします。

運動後には、次に運動する機会に備えて静的ストレッチを十分に行います。運動で緊張状態になった筋肉をしっかりと伸ばして、柔軟性を確保しておきます。筋肉痛の軽減効果も僅かながらあるため、翌日の痛みの軽減にもつながる可能性があります。

美容に効果的なストレッチ

ストレッチが美容に与える影響としては、O脚の改善、猫背の改善、ストレスの軽減による自律神経系への影響(入眠がスムーズになる)、エネルギー消費量の増加(ダイエット効果)が挙げられます。姿勢や足の形などが修正されるため、ストレッチで更に外見を綺麗にできる可能性があります。

まずO脚の改善ですが、もも裏の外側の筋肉(大腿二頭筋)の硬さが原因の一つとされています。そのため、この筋肉をしっかりと伸ばすだけでも、O脚の改善に近づきます。

同様に、猫背に対しても効果を発揮します。猫背の原因は、背中の丸みです。骨盤が倒れてしまうと猫背になるため、もも裏の筋肉の柔軟性を改善したり、背中そのものを伸ばしたりすることで、猫背の改善を図ることができます。

ストレッチにより、ストレスの軽減効果があるとされています。日常的にストレスを溜め込んでしまうことなくケアができるため、自律神経の働きを整える効果が期待されます。女性は、ホルモンバランスの変化から自律神経が乱れやすいです。ストレッチにより、入眠までの時間の短縮にも効果があるため、仕事終わりのストレッチや、寝る前のストレッチは女性には効果的だと考えられます。

また、体が柔らかいとエネルギーの消費量が多いと言われています。走行中のデータですが、体の柔軟性が高いほど、走行中のエネルギー消費が多いとされています。そのため、同じランニングでも、体が柔らかい人の方が、効率的にダイエットできると考えられます。体の柔軟性がある影響で、筋肉や腱の硬さに頼ることができず、様々な動作において筋肉を働かせながら動きを制動しなければならないことから、エネルギー消費量が増えていると考えられています。

これらの効果を発揮するためには、じっくりと伸ばす静的なストレッチが効果的だと考えられます。時間と心に余裕を持って、好きなアロマを炊きながら、ヒーリング音楽に身を任せてじっくりとストレッチをする生活なんて、おしゃれで素敵です。


ストレッチをどれくらい続ければ効果が表れるのか?

各目的に対するストレッチは、お分かり頂けたと思います。しかし、実際にストレッチの効果が出てくるまでの期間はどれくらいなのでしょうか?

関節の動く範囲が拡大することを目的とした場合、期間は約2週間と言われています。また、筋肉の柔らかさを出すためには、3週間以上の時間が必要と言われています。

ストレッチは筋トレと同様に、すぐには効果が出ないので、継続することが必要になってきます。生活習慣として、日常にストレッチを取り入れていくと続けやすいので、日常のどの場面でストレッチを取り入れられるか検討してみましょう。


セルフストレッチでは効果を最大限に発揮できない?

ここまで、様々なストレッチに関する知識をご紹介してきました。

さあ、今日から自分の目的に合わせて正確にストレッチを行い、数週間継続して自分の目的を達成しましょう!と言われたとして、正確にストレッチを行っていくことはできるでしょうか?おそらく無理だと思います。

これまで述べてきたストレッチの知識は、様々な研究が土台にあります。一般の人がこれらの知識を勉強したからといって、最初から効果的に良いストレッチを行うことは限界があると思います。

そこで、ストレッチは専門家に任せてみるのはどうでしょうか?

ドクターストレッチでは、プロスポーツトレーナー監修の独自技術、コアバランスストレッチを使い、マンツーマンでストレッチを行います。年齢、性別を問わず、お客様一人一人の体の状態や目的に合わせたストレッチを行います。お客様は、寝ているだけでストレッチが完了します。トレーナーに体を預けることができるので、リラックスし、余計な力が入らない状態でストレッチを行うことができます。トレーナーは正しい技術と知識を持ち合わせているので、安全に柔軟性を確保していくことが可能です。

まとめ:様々な効果があるストレッチはプロに任せて快適な生活を!

今回は、ストレッチに体を改善する効果はあるか?というテーマで、ストレッチに関する様々な知識とともに、健康・スポーツ・美容の各シチュエーションにおける適切なストレッチの考え方をご紹介してきました。ストレッチとはいえ、最大の効果を発揮するためには様々な知識が必要です。間違った方法でストレッチをしてしまうと、効果が出ないだけではなく、体を痛めてしまう可能性もあります。様々な知識が必要になるため、セルフストレッチでしっかりと結果を出していくことは難しいと思われます。そこで、ストレッチはプロに任せてしまい、あなたは他のことにエネルギーを使い、日々の生活を充実させるのはどうでしょうか?人生の貴重な時間を有効に使うためにも、プロに任せられるところは任せてしまうのもありなのではないでしょうか。

参考文献

成長期サッカー選手に対するストレッチング指導の効果 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/25/6/25_6_861/_pdf

静的ストレッチングがジャンプ能力に及ぼす効果

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筋のスティフネスを低下させるために必要なスタティックストレッチングの介入期間はとどれくらいか? 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/62/6/62_551/_pdf

腰痛緩和を目的としたストレッチがストレスに及ぼす影響

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/62/6/62_551/_pdf

ストレッチングのエビデンス

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/41/8/41_KJ00009647372/_pdf/-char/ja

低強度・短時間のストレッチ運動が深部体温、ストレス反応、および気分に及ぼす影響 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tairyokukenkyu/110/0/110_1/_pdf

ストレッチング その科学的基礎

https://chukyo-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=12939&item_no=1&attribute_id=20&file_no=1

超音波パルスドプラによるストレッチング効果の血行動態解析

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hppt/6/3/6_123/_pdf

ストレッチ運動における血流量変化 

http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/db/seeds/descente04_20_fukunaga.pdf

Chronic Static Stretching Improves Exercise Performance 

https://paulogentil.com/pdf/Chronic%20Static%20Stretching%20Improves%20Exercise%20Performance.pdf

Poor trunk flexibility is associated with arterial stiffening

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Twenty minutes of passive stretching lowers glucose levels in an at-risk population: an experimental study

https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S1836955311700388?token=0BD82322B381E9138B4A0657BDFCE62214AE9C55C6BDCE3AC90AE139E54A03E55AC26781EA7B394F1EC2A6168DFC6C8E&originRegion=us-east-1&originCreation=20211128044543

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