オンラインでの授業やテレワークが普及し、近年はスマートフォンやパソコンを使う時間が増えてきているのではないでしょうか?これらの電子機器を利用する時間が増えてくると、問題になってくるのは首のこりや痛みです。仕事やSNSに集中してしまうと、姿勢のことなど気にならなくなり、気付いたら首に痛みが出るような状況になっているなんてこともあると思います。
今回の記事では、首のこりについて解説し、首のこりを軽減する座りながらできるストレッチも紹介していきます。
目次
首こりとは
首には、様々な筋肉が存在します。人間の頭部は意外と重たく、4〜5kgほどあると言われています。その重たい頭部を支えているのが首なので、姿勢によっては、首に負担がかかってしまいます。
元々首は、骨の配列として前弯があり、この湾曲があるおかげで頭の重さを分散して支えることができています。しかし、スマホやパソコンに熱中してしまい、頭が前に出るような姿勢になると、首の骨の湾曲は失われてしまいます。その結果、頭の重さをうまく分散できなくなり、首の筋肉に過剰に負担がかかるようになってきます。
首の筋肉で負担がかかる部位とは?
首の筋肉で負担がかかる場所は、頭板状筋や胸鎖乳突筋が代表的です。
頭板状筋は、首を後ろから支える筋肉で、首の骨〜後頭部にまでくっついています。首を後ろに反らせる動作で、主に活躍する筋肉です。そのため、頭が前に出ている状態だと、首は前に曲がった状態になります。そのため、頭板状筋は頭が前にある状態では、常に力を出していなければならない状態になっていると考えることができます。筋肉に常に力が入っている状態では、筋肉は硬くなってしまいます。筋肉が硬い状態になると血流が低下し、痛みにつながってしまいます。
胸鎖乳突筋は、耳の近くから鎖骨あたりにかけて走行している筋肉です。主に首を回す動きを担当しています。頭が前に出ることにより、胸鎖乳突筋にも影響を与えてしまいます。頭が前に出るような姿勢になってしまうと、胸鎖乳突筋は短縮した状態になります。胸鎖乳突筋の近くには、顔面に通じる血管や神経が通っていますので、挟み込みが起こると偏頭痛や顔のむくみなどが生じてしまいます。また、筋肉が短縮してしまうと、伸ばすまでに時間がかかります。なので、筋肉の長さが戻らない限り、悪い姿勢が続いてしまう可能性もあります。
首こりが感情やかみ合わせにまで影響を与える?
首がこりやすい頭が前に出るような姿勢を続けていると、ポジティブな感情が出にくくなってきてしまうとされる研究があります。落ち込んでいたり気分が悪かったりすると、下を向くことが多いです。これは、気持ちが先行して、姿勢に影響を与えていると考えられます。しかし研究では、姿勢が先行して気持ちに影響を与えていることが考えられます。明るい気持ちを保つためにも、姿勢は大切なことがわかります。
かみ合わせにも姿勢は影響すると言われており、近年のかみ合わせの治療では、姿勢にもフォーカスされるようになってきています。かみ合わせが悪いと、顔面の形も左右差が出てきてしまったり、歯並びが悪くなってしまったりします。歯並びが悪くなると、歯垢がたまりやすく、虫歯になるリスクも上がります。歯は、取り返しがつかない大切なものです。高齢になった時に1本でも自分の歯を多く持っていられるように、今から姿勢とともに気をつけていきましょう。
首こりセルフチェック
首こりのセルフチェック方法を解説します。首こりのチェック方法は2種類あります。
首がこりやすい姿勢になっていないかチェック
首がこりやすい姿勢になっていないかチェックしていきます。今回は首こりに関するチェックを解説していきます。
- 壁に踵から頭までしっかりとくっつける。
- 後頭部をつけた時に、少し上を向かなくてはならない状態や、目線が上になってしまう状態の場合は、首がこりやすい姿勢になっている可能性があります。
(頸部が曲がっているため、後頭部をくっつけるための努力が必要な状態になってしまっていると考えます。)
※壁と腰の間に空間が少しできるのは正常です。手のひらが2枚以上入る場合は、反り腰や猫背になっている可能性があります。
頸椎の回旋角度が十分かチェック
首こりになると、頭を回す角度が少なる傾向があります。頭は左右に50度動くとされていますので、正面を向いたところを0度とし、左右に50度ずつ動くか確認をしてみると良いでしょう。なかなか自分では確認が難しいと思いますので、他の方にチェックしてもらう必要があります。鼻を目安とすると良いでしょう。
首こりの原因
結局首こりは、頭が前に出てしまう姿勢を、長い時間してしまっていることが原因と考えられます。現代では、スマホを利用する人が増え、利用し始める年齢も低くなってきている傾向にあります。最近では、小学生でもスマホを持っているくらいです。姿勢を意識しないで長時間使用してしまい、何かしらの症状が出るというのも考えられます。研究では、スマホの利用時間が長い人の方が、頸部後面が前傾傾向にあることがわかっています。つまり、姿勢が悪いということです。スマホ以外にもパソコンを長時間使用する人や、読書を趣味とする人なども注意が必要です。長時間同じ姿勢を続けるだけでなく、気づいたら下を向いてしまうような姿勢になってはいないでしょうか?
また、そもそも運動不足で良い姿勢を保持できるだけの筋力が無い人も、首がこる傾向になりやすいと考えられます。
首こりの予防方法
首こりの原因は、姿勢の悪さであることを解説してきました。予防方法としては、どのようなものがあるのか解説していきます。
パソコンのモニターは目線の高さに合わせる
パソコンのモニターの高さは、どのような高さになっていますか?だいたいの環境で、目線よりも下に配置されていると思われます。まだデスクトップの人は、モニターの高さを調整できる場合がありますが、ノートパソコンを利用している人は、ほぼ100%目線よりも下に設置されていると思われます。
「え?意外と目線の高さだけど?」と思われる方もいるかもしれません。おそらくそのような人は、そもそも悪い姿勢でパソコン作業をしていると思われます。悪い姿勢で、モニターが目線の高さになっていても、意味はありません。良い姿勢を作った時に、目線の高さにモニターがないといけません。意外と高い位置にセッティングしないといけないので、意識してみましょう。
スマホと顔面の距離が近すぎる
スマホのディスプレイとの適切な距離は40cmと言われています。40cmは、測ってみると意外と距離があり、かなり遠く感じます。SNSや動画に集中してしまうと、適切な距離を保つのは難しいと感じる距離感です。冷静になって、ディスプレイとも適切な距離を保ちましょう。
長時間同じ姿勢にならないようにする
仕事や趣味に夢中になっていると、どうしても長時間作業を続けてしまいがちです。長時間同じ姿勢を続けていると、筋肉の血流が悪くなり、コリや痛みにつながります。そのため、こまめに動いて、筋肉への血流をよくする必要があります。アラームをセットするなど、動くきっかけを作っておくと良いと思います。
適度な運動を継続し、意識しなくても良い姿勢でいられるようにする
良い姿勢でいるためには、筋力が必要不可欠です。首のこりを改善するためには、首のストレッチも必要ですが、体幹のトレーニングも必要になってきます。日頃から適度に運度を行い、筋力を維持することで、良い姿勢を保ちやすくなります。仕事ではあまり動かない人は、意識して運動習慣をつける必要があります。
首こりを軽減!簡単にできるセルフストレッチ
ここからは首こりにお悩みの方におススメのセルフストレッチをご紹介していきます。
【首こりにおススメのストレッチ①】
胸鎖乳突筋を伸ばすストレッチ
- 椅子に座る、立位で行います。
- 右手で、左側のこめかみに触れて横にたおしていきます。
- その際に姿勢が丸まらない、肩が上がらないように力抜いて行うより効果的です。
- 首の横に伸びを感じながら10~15秒キープします。
- これを左右互いに2〜3回繰り返します。
【首こりにおススメのストレッチ②】
板状筋(首の後ろにある筋肉)を伸ばすストレッチ
- 胡坐をかいて座ります。または椅子に座ります。
- 両手で頭の後ろに手を組みます。首を右斜めむけての伸ばしていきます。
- その際にお尻が下がらないよう高く保つ、あごを引いて背中を軽く反らせるとより効果的です。
- この首の後ろに伸びを感じながらを10~15秒キープします。
- これを左右互いに2〜3回繰り返します。
【首こりにおススメのストレッチ③】
大胸筋を伸ばすストレッチ
- 腰幅くらいに立ちます。
- 両手を体の後ろに回して、肘を伸ばした状態で組みます。背中をそらせます。(胸を開いていきます)
- その際に顎をあげるとより効果的です。
- この胸に伸びを感じながらを10~15秒キープします。
- これを互いに2〜3回繰り返します。
ディスプレイとの距離や悪い姿勢をコントロールして首こりから脱出しよう
今回は首こりについて、原因や予防法、自分でできる簡単ストレッチについて解説してきました。首のこりは、悪い姿勢が原因で生じるものだということが、お分かり頂けたと思います。首の位置が悪いと、様々な部位に影響が出てきます。偏頭痛や精神的な落ち込み、かみ合わせなどが代表的です。これらは一度発症してしまうと、原因を根本的に治療し、再発しないようにするためには、時間がかかります。そもそも体の調子が悪くならないように予防する考え方が必要になると思われます。今回ご紹介した、座ってできる簡単ストレッチを、是非試してみてください。
首のストレッチは自分では怖くてできないという方や、自分で行うストレッチでは効果を感じられないという人は、プロにストレッチをしてもらうという方法もあります。
ドクターストレッチでは、プロのトレーナーが1人1人の体に合わせて100種類以上の中から個別にストレッチを選定してくれます。しかも、あなたはベッドに寝て脱力しているだけでストレッチは完了します。トレーナーは独自技術のコアバランスストレッチという技術を用いて、深部の筋肉までしっかりとほぐしてくれます。
簡単そうで、奥が深いのがストレッチです。一度プロの技術を体験してみるのもよいのではないでしょうか。
参考文献
学生のスマートフォン使用状況と健康に関する調査研究
http://hokuga.hgu.jp/dspace/bitstream/123456789/3035/1/04_伊熊様論文.pdf
内蔵カメラを用いたVDTユーザーとディスプレイ間距離の測定とその応用
https://www.cst.nihon-u.ac.jp/research/gakujutu/58/pdf/L-2.pdf
女子大生の生活習慣が体型・姿勢に及ぼす影響
課題遂行時の座位姿勢が心身の急性ストレス反応に及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahpp/33/0/33_P02/_pdf
学童期の不正咬合と姿勢の関連性