筋トレ前後にストレッチはした方が良いの?筋トレ効果を高めるストレッチ方法とともに徹底解説

筋トレ前後にストレッチはした方が良いの?筋トレ効果を高めるストレッチ方法とともに徹底解説

筋トレとストレッチの関係性について、あなたはご存知でしょうか?筋トレは力をつけて、ストレッチは休ませるイメージを持っている方も多いと思います。実は、筋トレとストレッチは密接な関係性があり、筋トレの効果を最大化させるためにも、ストレッチは重要になります。しかし、間違った方法でストレッチを行ってしまうと、筋トレの効果が半減してしまうため、正しいやり方を知る必要があります。今回は、筋トレ前後に行うストレッチについて、科学的な根拠をもとにして解説していきます。


筋トレ前後にストレッチはした方が良いの?

結論としては、筋トレ前後にストレッチはした方が良いです。しかし、やみくもにストレッチをするのでは良い効果は得られません。それどころか、間違ったストレッチでは逆効果になってしまうことも考えられます。筋トレ前・後の正しいストレッチについて解説していきます。

筋トレ前はダイナミックストレッチ

筋トレの前は、動きを伴うダイナミックストレッチを行います。ダイナミックストレッチとは、動きを伴うストレッチのことです。関節を大きく動かしながら、ストレッチを行なう方法です。主に、収縮させた筋肉と反対側の筋肉を伸ばしていくことを、目標としています。例えば、ももの裏の筋肉を伸ばしたい場合は、足を振り上げるように動かして、ももの裏を伸ばしていきます。伸ばされる時間は短いですが、筋肉を働かせながらストレッチを行なっていくため、ウォーミングアップには最適です。動きを止めてじっくりと行う、静的なストレッチを行なっていけないわけではないですが、時間は短くしておくことが必要です。時間が長くなると、後のパフォーマンスに影響を及ぼしてしまいます。

筋トレ後は静的(スタティック)ストレッチ

筋トレの後は、静的なストレッチを行なっていきます。静的なストレッチとは、筋肉を伸ばしたまま、しばらく動きを静止し、じっくりと筋肉を伸ばしていく方法です。主に、筋肉の緊張を取り除いたり、硬い体をほぐしたりする時に用いられることが多いです。静的なストレッチをし終わったあとは、筋肉の血流が改善することが知られています。反動をつけずに行うため、筋肉への負荷も少なく、体を痛めにくいという特徴があります。

ストレッチの効果は?

筋トレ前後のストレッチで得られる効果としては、下記のようなものが挙げられます。

筋肉の温度を上げることにより、肉離れなどの障害を防ぐことができる

反復して体を動かすことにより、筋肉内の血流が改善され、筋肉の組織自体の温度が上昇します。そのため、筋肉の柔軟性が改善することにより、怪我をしにくくなります。怪我をしてしまう筋肉の状態としては、過剰に緊張している状態であったり、元々短縮している状態であったり、冷えている状態であったりします。温度が上がり、筋肉自体の粘弾性が上がれば、冷えている状態よりも怪我をしにくいイメージを持つことができると思います。

筋肉が使いやすい状態になりパフォーマンスが上がる

ストレッチ後にパフォーマンスを調べた結果では、ストレッチをした群の方がジャンプや筋力などのパフォーマンスが向上することが、研究でわかっています。しかし、静的なストレッチをした直後には、一時的に筋力が出ない状態になってしまうこともわかっているため、ストレッチをする時間やストレッチの仕方には注意が必要です。

筋肉を柔らかい状態に保つことができ、次の運動機会の怪我予防になる

運動後にストレッチを行うと、筋肉の柔らかさを維持できることが知られています。研究では、ストレッチをする群とストレッチをしない群に分けて、研究を行っていました。結果は、ストレッチをしていない群は、運動後2日目、3日目と、どんどん筋肉の硬さが増えてしまいました。ストレッチをした群は2日目、3日目は、1日目と同様の柔らかさを維持することができたとされています。運動後の筋肉は、緊張状態になります。そのため、その緊張状態を軽減してあげて、筋肉が柔らかい状態を維持することは、次の運動の時の怪我予防に繋がることがわかります。

リラックスすることができ、入眠までの時間を短くすることができる

筋トレは、交感神経が優位になります。普段から寝つきが悪くて大変という方は、ストレッチを取り入れてみると良いです。ストレッチで、入眠までの時間が短くなったという研究結果が出ています。ストレッチをすることにより、副交感神経が優位になったことが考えられます。唾液で神経の作用を調べた研究のため、信頼性も高いと思われます。

筋トレ前のストレッチの注意点

筋トレ前には、動的(ダイナミック)ストレッチが良いことを書きました。しかし、反動をつけて行うストレッチは、動的ストレッチとは区別されます。反動をつけるストレッチはバリスティックストレッチと言われ、通常の2倍の負荷がかかるとされています。そのため、組織を損傷してしまう可能性があるため、注意が必要です。

また、筋トレ前に、静的ストレッチを行ってはいけないわけではありませんが、ストレッチの時間を短くしないと、筋出力が一時的に落ちてしまいます。研究によりばらつきはありますが、30秒の保持で出力が落ちたとする研究があります。筋力の最大値を増やしたい場合、じっくりとストレッチを行ってからの筋トレは逆効果になりますので、注意が必要です。

筋トレ後のストレッチの注意点

筋トレ後に、筋肉痛が出る人もいると思います。筋肉痛が出ている状態でのストレッチは、慎重に行った方が良いです。研究では、筋肉痛が出ている状態で強度の強いストレッチを行ってしまうと、24時間後には筋肉痛が増しているとされています。筋肉痛は、筋繊維の微細な損傷です。そのため、劣化したゴムのような状態になっています。その状態の組織をさらに伸ばすわけですから、さらに損傷を広げてしまうことは、容易に想像できると思います。筋肉痛がある場合には、痛みが出ない程度に慎重にストレッチを行いましょう。

筋トレ後におすすめのセルフストレッチをご紹介

ここからは筋トレ後におススメのセルフストレッチをご紹介していきます。

【筋トレ後におススメのストレッチ①】

上腕三頭筋を伸ばすストレッチ

  1. 腰幅くらいに立ちます。
  2. 両手を頭の上にあげ、片方の肘を後ろに曲げていきます。
  3. 反対が手で、肘をつかみ、斜め下へ腕を伸ばしていきます。腰がそらないようにするとより効果的です。
  4. 腕の後ろが伸びるのを感じながら15~20秒キープします。
  5. これを左右互いに2〜3回繰り返します。

【筋トレ後におススメのストレッチ②】

身体の側面を伸ばすストレッチ

  1. 脚を横に開き座ります(開脚姿勢)
  2. 片手をあげて、耳の上に腕がかぶるように横に倒していきます。
  3. 足首をもてる位置まで伸ばせるとより効果的です、力を抜き徐々に伸ばしていきましょう。
  4. 身体の横側が伸びるのを感じながら15~20秒キープします。
  5. これを左右互いに2〜3回繰り返します。

【筋トレ後におススメのストレッチ③】

内転筋(股関節の付け根)を伸ばすストレッチ

  1. 両膝をまげて、足裏を曲げていきます。
  2. 両手で、両膝を手で押していきます。
  3. 上体を前に倒し、肘で押してもよいです。徐々に伸びるよう行うとより効果的です。
  4. 股関節の付け根が伸びるのを感じながら15~20秒キープします。
  5. これを左右互いに2〜3回繰り返します。

【筋トレ後におススメのストレッチ④】

背中を伸ばすストレッチ

  1. 壁に向かって立ち、足を腰幅くらいに開ききます。
  2. 両腕は大きく広げて、手を壁につけます。
  3. 足の位置は変えずに、顔を横に向けたまま上半身を壁ギリギリによせて肩を伸ばします。
  4. すねが伸びるのを感じながら15~20秒キープします。
  5. これを左右互いに2〜3回繰り返します。

ストレッチには筋力の維持効果がある?

筋トレとは関係ないと思えるストレッチですが、実は、筋力の維持効果や、筋力が向上する効果があることが徐々にわかってきています。

人間の体は作り替えられている

人間の体は、常に壊したり作ったりしてアップデートされています。骨や皮膚、赤血球などでその過程は有名ですが、筋肉も同様と考えられます。筋肉も作られたり分解されたりして、常に新しい細胞にアップデートされています。

ストレッチで筋肉の分解が抑制される

ストレッチをすることにより、筋肉を分解する働きが弱まり、タンパク質を合成する働きが強くなることも研究で明らかにされています。また、筋肉を伸ばすことにより、筋肉の成長を促す物質が、伸ばされた部分から分泌されることがわかっています。筋トレをして、強い収縮力を発揮して、筋肉へ伸ばすストレスを与えるのと、ストレッチで筋肉へ伸ばすストレスを与えるのと、同じような働きがあると考えることができます。

しかし、ストレッチによる筋力向上効果を狙うためには、ストレッチを続けなければいけない可能性も指摘されています。そのため、短期間でストレッチをやめてしまうと、効果を実感できない可能性があるため注意が必要です。

太くなった繊維は裂けて分裂していく

違う研究では、ある程度太くなった筋繊維は、裂けるようにして分裂するとしています。筋肉の細胞にはZ膜という部分があり、太くなった筋肉の繊維に伸ばされるストレスがかかると、Z膜の部分から筋繊維が避けて分裂するとしています。細い筋肉の繊維では裂ける方向に力が加わりにくいですが、太い繊維になると筋肉が裂ける方向(斜め方向)に引っ張られるストレスがかかるとされています。一定の太さ以上の筋肉の繊維が存在しないとされているため、太くなった筋肉は裂けるような形で分裂していると考えられています。裂けた後の繊維も太くなり続けることにより、再び筋繊維が裂ける状態になります。これらのプロセスを繰り返すことにより、筋肉の繊維の数が増えていきます。そして、筋肉の横断面積が増え、筋力が向上していきます。このZ膜を裂くストレスは、筋肉が伸ばされるストレスなので、ストレッチをすることでも再現は可能かと思われます。しかし、筋肉の繊維の分裂には瞬間的な早い収縮速度が必要とされているため、筋力が維持されるメカニズムとしては、最初にご紹介した筋肉の分解が抑制され、タンパク質の合成が促進される影響の方が大きいかもしれません。

実際にストレッチだけを行っても、筋力やパフォーマンスが向上したという報告もありますので、ここでご紹介したような変化が筋肉に起こっている可能性を考えることができます。

適切なストレッチで筋トレの効果を最大化しよう

今回の記事では、筋トレ前後のストレッチについて書いてきました。筋トレ前には関節を大きく動かしながら可動域を上げていく、ダイナミックストレッチを行うと、筋肉の温度も上がり、パフォーマンスをあげることができます。また、静的ストレッチには筋力を上げる効果も見込まれることがわかっています。体調が悪く、筋トレができない時もあるかと思います。そんな時は、ストレッチだけでも行なっておくと、筋力が維持されやすいです。次のトレーニングの時にも怪我をしにくくなるため、適切にストレッチを使うことが重要です。

今回ご紹介した知識を、しっかりと全部理解して、トレーニングに望むことができる人は決して多くはないと思います。専門的な知識が多く、普段意識していないことも多いからです。なので、ストレッチに関してはプロに任せてみるというのも、良いのではないでしょうか?ドクターストレッチでは、プロのトレーナーがあなたの体に合わせて、マンツーマンでストレッチを行います。あなたは寝ているだけでストレッチは完了します。脱力して身を任せているだけなので、効率よくストレッチできますし、確かな知識・技術を持ったトレーナーにストレッチをかけてもらうので、安全です。プロのストレッチも併用しつつ、効果的に筋トレをしていきましょう。

参考文献

ダイナミックストレッチング後にみられた ピークトルクと表面筋電図の変化

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/35/5/35_699/_pdf

運動負荷後のストレッチングが筋硬度に及ぼす影響

http://www.meiji-u.ac.jp/research/files/shinkyuigaku40_29.pdf

ダイナミックストレッチング前後の 関節可動域,最大筋力,表面筋電図の変化

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/30/6/30_897/_pdf

長期的なストレッチが筋力に及ぼす影響

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_0569/_pdf

Chronic Static Stretching Improves Exercise Performance

https://paulogentil.com/pdf/Chronic%20Static%20Stretching%20Improves%20Exercise%20Performance.pdf

ストレッチを用いた低強度運動プログラムの実施が中高年女性勤労者の睡眠に及ぼす影響

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tairyokukenkyu/106/0/106_1/_pdf

短時間の静的ストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_51/_pdf

筋力トレーニングについて

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika1986/9/3/9_3_131/_pdf/-char/ja

ディトレーニング中のストレッチングが筋量に及ぼす影響

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/59/5/59_5_541/_pdf

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