反り腰におすすめのストレッチを理学療法士が解説

反り腰におすすめのストレッチを理学療法士が解説

皆さんの周囲に「姿勢が良いのに腰痛に悩んでいる方」はいませんか?実はその方、「反り腰」かもしれません。今回は反り腰について概要やストレッチ方法などを理学療法士が解説していきます。反り腰は日常的な痛み・症状に移行しやすいため、この記事を読んで適切な対策が取れるように心がけましょう。


そもそも反り腰とはどういう状態なのか?

まずは、反り腰というのはどのような状態の事を指すのかについて紹介していきます。反り腰というのは、簡単に説明するとその名の通り「腰が過度に反った状態」です。

通常、人間の背骨は適度なカーブを描くようになっており、腰の部分に関しては前側に凸のカーブが生理的に(体のつくりとして)ついています。反り腰の状態においては、腰をさらに反らせているので、より前側に突き出したような姿勢になっているという事です。

つまり、反り腰の人は腰の部分の背骨が普通の人よりもより前側に突き出した状態になっているのです。このような状態が長期間続くと、腰周り・おなか周りの筋肉はもちろん、背中の筋肉や脚の筋肉にまで影響を及ぼしてしまうこともあります。反り腰は人間の体のつくりとして理想的な状態から逸脱(外れて)しているので、体全体のバランスに問題が生じてしまうのです。
体のバランスに影響が出るという事は、日本人が日々意識している「姿勢の美しさ」や「見た目・マナー」の点において、悪く見えてしまう可能性があるという事です。反り腰の自覚がある方はもちろん、気になっている方も是非一度チェックしてみましょう。


反り腰になる原因

①ヒールの高い靴を履くこと

反り腰の概要を把握できたところで、ここからは反り腰になってしまう原因について紹介していきます。反り腰の主な原因はヒールの高い靴を履くことです。「なぜ履物が腰に影響するの?」と感じた方も多いはずです。では実際にヒールを履いた時のことを想定してみましょう。

まず、ヒールを履くとつま先の位置はほぼ変わらずに踵の位置のみが高くなります。つまり、「坂道に立っている」のと同じ状態になるという事です。すると、私たちの身体には自然に下る方向へ倒れるような力がかかりますね。

しかし、そのままだと倒れてしまいますから私たちは本能的に「体が傾かないように」システムされています。平衡感覚(へいこうかんかく)などとも呼ばれている機能です。この平衡感覚自体は転んだり倒れたりしないためにも必要不可欠な機能なのですが、反り腰はこの平衡機能があるからこそ引き起こされる症状の一つなのです。

倒れないようにするには、前側に行く重心とは別に後ろ側へ重心を移動させる必要があります。そこで私たちは「上半身」を後ろへ若干傾けるような姿勢にすることで、坂道のような状態になっても倒れないようにしているのです。

身体を後ろ側へ倒そうとすると、当然ながら腰は前側へ突き出すようになりますし、この姿勢こそが反り腰を誘発してしまうのです。このように高いヒールを履くことが反り腰の原因として最も多く、最近では20代~30代の患者様が急増しています。見た目の印象なども大切ではありますが、それ以前に自分の身体に支障をきたしてしまうのは好ましくありません。ぜひ自分の身体に気を遣いながら適度なおしゃれ・身だしなみを整えるようにしましょう。

②座る姿勢が悪い

このほかにも座る姿勢が反り腰に影響することもあります。座る姿勢によっては骨盤の傾きがヒールの際と同じようになってしまうため、日々の仕事・学業において座っている時間が長いという方は注意が必要です。

座っていて反り腰になるケースとしては、「姿勢が良すぎる」という場合です。猫背になっている場合は反り腰ではないので、猫背改善用の施策が必要になります。

腰痛などの原因が特定できない原因としては、「反り腰は姿勢が良いように見える」という点にあります。「いつも背筋が伸びているのに、どうして腰が痛いのだろう」と感じるかたは反り腰の可能性があるので一度周囲に確認してもらいましょう。良かれと思って直している姿勢が、反り腰の状態になっていては元も子もありませんよね。


反り腰を放置しているとどうなるのか

反り腰の原因が把握できたでしょうか。ここからは「反り腰を放置しているとどうなってしまうのか」について紹介していきます。「腰を反らせすぎないようにすればよいだけ」と安易に考えていると、見た目や体の内部から徐々に症状が現れるようになります。ぜひ真摯に受け止めて改善に取り組みましょう。

①お腹が出てくる

反り腰を放置していると、おなかが出てくる可能性があります。それもそのはず、反り腰は「お腹を突き出したような姿勢」なので、そもそもお腹が出ているように見えます。

さらに、反り腰だと腹筋を上手に使うことができなくなるのでお腹周りの脂肪が落ちにくくなります。この2点から、反り腰の状態になっているとお腹が出てしまい見た目が悪くなってしまいます。

反り腰を改善するだけでも、おなかの出っ張りをなくすことができるため、この後ご紹介するセルフストレッチを継続的に行ってみてください。

②腰痛へと進展する

反り腰は最初のうちは見た目の変化や姿勢のゆがみなどで収まっていることが多いですが、進行すると腰痛を引き起こします。「筋肉のバランスが悪くなる」という事は前述しましたが、腰痛も筋力バランスの崩れで生じます。私たちの身体には体の前側に腹筋、後ろ側に背筋がありますが、このバランスが違うとどちらか一方に過度な負荷がかかり、腰痛になります。

最終的には「腰が痛い→姿勢を良くしているつもりが反り腰になる→腰痛が悪化する」という負のループに突入してしまうケースも珍しくありません。このように反り腰を放置していると腰痛の原因となるだけでなく、悪化させることにもつながるのです。


③姿勢がさらに悪くなる

反り腰を放置していると、さらに姿勢が悪くなります。悪い姿勢で癖がついてしまうと、筋力のバランスがさらに悪くなっていくので、それに伴って補助するために姿勢の悪化が進行します。極度に胸を張っているように見えたり、横から見るとかなりのけぞっているように見えたり、横柄な印象を演出してしまうのです。

前後方向のみで済めば良いのですが、これが左右の筋力バランス異常につながると、側彎(背骨が左右どちらかに曲がる)などの原因にもなります。姿勢の悪化は矯正できないわけではありませんが、異常であればあるほど治すのに時間がかかってしまいます。ぜひ鏡などで姿勢をチェックしてみましょう。


反り腰の方におススメのセルフストレッチをご紹介

ここからは反り腰の方におススメの自宅で簡単にできるストレッチを3種類ご紹介します。

【反り腰の方におススメのストレッチ①】

広背筋を伸ばすストレッチ

  1. あぐらをかいて座ります。
  2. 片手を伸ばして状態を斜めに倒していきます。
  3. その際に反対側の手で膝を押さえながら伸ばすと、より効果的です。
  4. この状態を15~20秒キープします。
  5. これを左右互いに2~3回繰り返します。


【反り腰の方におススメのストレッチ②】

腸腰筋の伸ばすストレッチ

  1. 右膝を曲げて床につき、左膝を垂直に立てます。
  2. 1.の姿勢のまま股関節をゆっくり前方に移動させます。
  3. この状態を15秒~20秒キープします。
  4. これを左右互いに2~3回繰り返します。

POINT:2.の際に、腰が反りすぎないようにご注意ください。


【反り腰の方におススメのストレッチ③】

大腿四頭筋を伸ばすストレッチ

  1. 安定する壁に片手をかけ立ちます。
  2. 壁についていない手で足首の甲を持ち膝を曲げていきます。
  3. 前の太腿が伸びているのを感じながら15秒~20秒キープします。
  4. これを左右2~3回繰り返します。


反り腰は早い対処で効果的な改善を心がけよう!

今回は反り腰について紹介してきました。反り腰の主な原因はヒールの高い靴を履くことです。猫背は男女ともに多い症状ですが、反り腰に関しては女性の方が多くなっています。けがや生活習慣等明確な理由が分かっている物であれば特に問題ありませんが、反り腰のように日常生活の思いがけない所が原因になっているケースも多々存在します。

そこに気づくことができないと、いつまでたっても症状を改善することができませんし、さらなる悪化を招いてしまいます。反り腰に関しては姿勢にも影響するため、安易に考えていると周囲からの印象に変化を与えてしまうこともあります。ぜひ一度、自覚が無くてもチェックするクセを身に付けましょう。もちろん、プロのストレッチなどによって改善することができるので、自分で続けられない・何をすればよいか分からないという方はぜひ相談してみましょう!


正しいストレッチ方法は「プロ」に頼ってみよう

Dr.stretchではお客様一人一人のお身体の状態に合わせたストレッチを提供しています。自己判断ではなく、プロのコアバランスストレッチトレーナーがあなたのお体をチェックし不調の原因や正しいケアの方法、またはお客様にあったセルフストレッチの提案などもサポートさせていただいてますので、是非気になる方がいましたら一度足を運んでみてください。ストレッチを習慣化させて辛くならないお身体を一緒に作っていきましょう。

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