肩甲骨周りの筋肉が硬いと肩こりになりやすい?硬さのセルフチェックと効果的なストレッチ方法の紹介

肩甲骨周りの筋肉が硬いと肩こりになりやすい?硬さのセルフチェックと効果的なストレッチ方法の紹介

近年、なかなか外で運動ができなかったり、テレワークが多くなってきたりしている人も多いのではないでしょうか。姿勢が悪くなったり、パソコン作業が多くなったりすると、問題となってくるのは肩こりです。肩の動きは、肩甲骨の動きが大きく関与します。肩こりで肩甲骨の動きが硬くなってしまうと、肩の痛みにつながったりしますので、肩甲骨の動きを柔らかく保って、肩こりにならないようにする必要があります。今回の記事では、肩甲骨と肩こりの関係性、セルフチェックや効果的なストレッチのご紹介をして行きます。


肩甲骨周りの筋肉と首・肩コリの関係性とは?

肩甲骨周りには、色々な筋肉があります。これらの筋肉と、首・肩こりの関係性について解説して行きます。

肩甲骨の周りの筋肉について

肩甲骨周りには多くの筋肉があり、これらの筋肉の働きにより、肩甲骨は背中にくっついていることができています。肩甲骨と背中の間に関節がありますが、肘や股関節などと違い、肩甲骨と背中の間の関節は、骨的な安定性がほぼありません。そのため、肩甲骨と背中の間の関節は、筋肉の影響をかなり受けてしまうことになります。筋肉が硬くなったり、弱くなったりすると、肩甲骨の動きに影響が出てきます。肩甲骨を安定させる筋肉は、脇腹の筋肉とも関係しています。脇腹の筋力が弱くなってきても、肩甲骨の動きが不安定になってしまいます。

肩甲骨周りの筋肉で特に硬さや痛みで問題になってくるのは、僧帽筋です。この僧帽筋は、首筋から肩にかけてのラインの、上部繊維の硬さが問題になることが多いです。あれ?この位置は!と気づいた方もいると思います。首コリ・肩コリで痛みが出る場所です。一般的に、肩コリを感じる場所として、僧帽筋上部が多いと言われています。

肩コリとは?

肩コリの原因の筋肉が僧帽筋上部繊維とわかったところで、肩コリについて解説していきます。肩コリとは、明確な定義はありませんが、首周りから肩甲骨周りにかけての痛みや、違和感などと言われています。首筋〜肩にかけて負担がかかり、筋肉が硬くなってしまい、血流が低下することにより痛みが生じます。これが、筋肉だけ見た肩こりのメカニズムです。しかし、同じような作業量をしていても、肩コリになる人とならない人がいます。その両者の違いはどこにあるのでしょうか?なぜ筋肉が硬くなってしまうのか解説していきます。

肩甲骨周りの筋肉はなぜ硬くなるのか

首コリ・肩コリになる人は、どのような特徴があるのでしょうか?結論としては、姿勢が悪い人で、骨盤が倒れやすく、首の動きが硬い人が、肩甲骨周りの筋肉が硬くなるリスクがあるといえます。まさに運動不足や、デスクワークが多い人を指しているような特徴が見えてきました。様々な文献で調査がされていますので、いくつかご紹介していきます。

首の病気を疑う?

首や肩にコリの痛みを感じる方で、何か首に病気があるのではないかと心配される方もいると思います。しかし、これは明確に否定されています。肩コリと、首の病気の関係性は無いことが研究で明らかにされています。

研究では、首の疾患を診断された方を対象に、肩コリの有無を問診し、首の状態と肩コリがどのような関係性があるのか調査されています。調査の結果、首の疾患を診断されていても肩コリがない人がいるため、首の疾患がある=肩コリになるというわけではないことがわかりました。

首の動きが悪い可能性

研究では、首の動きの悪さと肩コリの関係性も調査されています。その調査結果によると、上を向く首の動きが硬いと、肩コリを感じる人が多いという結果が出ています。

首の骨は、もともと前弯(反り返り)があります。首が上を向きにくいということは、この前弯が少なくなっていることを意味します。ストレートネックという言葉を聞いたことがある人もいると思いますが、首の骨の配列がまっすぐになってしまう状態のことを指します。ストレートネックになってしまうと、肩コリの原因筋である僧帽筋は、伸ばされた状態が続いてしまいます。そのため、血管が圧迫され、血流が悪くなり、痛みにつながっていきます。研究では、肩コリがある人の筋肉の血流が悪くなっていることがわかっています。

姿勢が悪い可能性

首コリ・肩コリは、部分的に原因を探っていても、問題が根本的に解決することが少ないものです。全身的な姿勢の悪さも、首コリ・肩コリに影響してきます。特に骨盤の角度は重要で、座り姿勢にかなり影響を及ぼします。骨盤が後ろに倒れてしてしまうと、腰は曲がり、猫背になり、首が前に出て、顎が上がるという最悪な姿勢が完成します。姿勢が悪いと、首コリ・肩コリだけでなく、首の病気や腰のヘルニアなど、背骨に関わる病気を発症するリスクが上がります。研究では、肩コリがある人は、肩コリがない人に比べて骨盤が寝てしまっていることがわかっています。なので、普段から良い姿勢を意識するということは必要ですが、特に骨盤の角度に気をつけると姿勢が良くなります。骨盤の角度が変わるだけで、良くも悪くも上半身に影響が出てきます。

硬さのセルフチェック

ここまで、首コリ・肩コリの原因筋、筋肉が硬くなってしまう原因について解説してきました。自分の肩甲骨の動きはどうなっているんだろう?と不安になっている方も多いと思います。ここからは、自分でできる簡単な硬さのチェック方法をご紹介します。

後ろで手を組んでみる

後ろで手が組めるかチャレンジしてみましょう。右手は上から、左手は下から背中に手を回してみます。背中で手が触れるようなら、手を反対にしてチャレンジしてみます。両側背中で手が触れればOKです。意外と硬い方が多いのではないでしょうか?

背中を壁につけて手を上げる方法

もう一つの方法は、壁にしっかりと寄りかかって手を上げていく方法です。

【やり方】

  1. 壁にしっかりと背中をつける
  2. 手を伸ばし、手のひらが下を向いたまま耳に近づけるように横に手を広げていく
  3. 角度を計測する

※手が壁から離れないように注意してください。肩に痛みが出る場合には無理はしないでください。

【判定】

・60度以上で問題なし。

・45〜60度で要注意。

・45度以下で問題あり。

この2つが、自宅でも簡単にチェックできる方法です。あなたの肩甲骨の動きはどうでしたか?もし肩甲骨の動きに硬さが見られるようでしたら、これからご紹介する肩甲骨のストレッチをすることをオススメします。

効果的な肩甲骨ストレッチ

ここでは肩甲骨周りの筋肉を伸ばすのに効果的なストレッチをご紹介します。

【肩甲骨ストレッチ①】

肩甲挙筋を伸ばすストレッチ

  1. 脚を腰幅くらいに開いて立ちます。
  2. 身体の後ろで、前腕と手首を握って前腕をひっぱります。
  3. 体が後ろに倒れず、肩だけが下がるよう行うことでより効果的です。
  4. 首の後ろ斜めに伸びるのを感じながら15~20秒キープします。
  5. これを左右互いに2〜3回繰り返します。

【肩甲骨ストレッチ②】

ローテーターカフ(肩関節の奥にある小さい筋肉の集まり)のストレッチ

  1. 姿勢を正してあぐらをかきましょう。
  2. 腰に右手の平をあて、左手で右ひじをふれ、肘を前にひきます。
  3. 胸を張り、背中を丸めないように伸ばすとより効果的です。
  4. この状態を15~20秒キープ。
  5. これを左右互いに2〜3回繰り返します。

普段から意識すべきこと

最後に普段から注意するべきポイントを解説していきます。どれも少し気をつければ良いことばかりですので、是非、日常生活でも意識してみてください。

姿勢(特に骨盤の角度)に気を付ける

肩甲骨の動きは、すぐに悪くなるわけではなく、悪い姿勢が習慣的になってしまうことにより、徐々に動きが少なくなってきてしまいます。良い姿勢を続けることは大変難しく、筋力も必要とするため、疲労しやすいです。なので、気がついた時に骨盤の傾き具合をチェックしてみて、できる限り良い姿勢を維持し続けられるようにすることが重要です。

デスク環境に気を配る

自分の意思だけでは、姿勢の維持は困難なことが多いです。しかし、デスク環境を整え、良い姿勢になる確率を高めることは可能です。特にPCモニタをなるべく高く設置し、まっすぐ前を見た時にPCモニタが見えるようにすると、首の適切な湾曲を維持しやすいです。ずっと下向きになっていると、首の反り返りが出なくなりますので、肩コリの原因になってしまいます。

運動不足

肩甲骨を支える筋肉は、脇腹も関係するということを解説しました。そのため、体力が落ちてしまっても、肩に影響が生じます。運動する機会が減少すると、筋力も低下してしまいやすいです。外に出て運動ができなくても、部屋の中で筋トレをしたり、ストレッチをしたりして、筋力の維持をすることが必要になります。特に骨盤〜脇腹周りの筋力を維持することが重要になります。

日頃から肩甲骨の動きや姿勢を意識して肩コリ知らずに

今回の記事では、肩甲骨の周りの筋肉や、筋肉が硬くなる原因、セルフチェック、効果的なストレッチをご紹介してきました。肩は全身の影響を受けやすく、特に姿勢が悪くなると、首や肩に影響が強く出ることがお分かりいただけたと思います。姿勢を維持するためには、柔軟性や筋力が大切で、それらを維持するためにもストレッチは有効になります。全身的に姿勢や筋肉の状態を把握しなければいけないので、ストレッチはプロに任せてしまうのも良いでしょう。ドクターストレッチでは、マンツーマンでプロのトレーナーがストレッチを行ってくれます。あなたは脱力して寝ているだけで、ストレッチが完了します。自分だけでは難しい場合は、是非プロを頼ってみましょう。

参考文献

長谷部香織 他 性別・年代別にみた肩こりの特性

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2008/0/2008_0_C3P3477/_pdf/-char/ja

永塚顕弥 他 頚部疾患患者における肩こりと頚椎の動きの関係 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2009/0/2009_0_C3O2135/_pdf

八瀬河裕美 他 肩こりの有無による僧帽筋・肩甲挙筋循環動態 —NIRS を用いての酸素循環の検討— 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2008/0/2008_0_A3P3009/_pdf/-char/ja

松本元成 他 肩こりと身体アライメントとに関連はあるか? ~肩甲骨、肋骨、骨盤に着目して~ 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2014/0/2014_1822/_pdf/-char/ja

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